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BtoBとBtoCとCtoCの違いとDtoCとは?
日本のEC市場を語る前に「BtoB」と「BtoC」と「CtoC」の違いについて説明します。
BtoBとは
BtoBはBusiness to Businessの略で、企業が企業に対して商品・サービスを提供する企業間取引のことを言います。(別名、B2B)
オフィス用品や仕事現場に商品をお届けするアスクル、工業用資材の豊富な品揃えのモノタロウなどが挙げられます。
BtoCとは
BtoCはBusiness to Consumerの略で、企業が個人(一般消費者)に対して行う取引のことを言います。(別名、B2C)
Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどが挙げられます。
CtoCとは
CtoCはConsumer to Consumerの略で、個人間で行う取引のことを言います。(別名、C2C)
メルカリやヤフオクなどが挙げられます。
DtoCとは
その他、DtoCはDirect to Consumer などもあります。こちらはメーカーが自社開発した商品を直接、消費者と行う取引のことを言います。(別名、D2C)
ECプラットフォームの進化や利益率、競合などの観点でDtoCを展開する企業が増加傾向にあります。
日本のEC市場
経済産業省による「電子商取引に関する2023年8月の市場調査」によりますと、2022年の日本国内のBtoC-EC市場は、22.7兆円(前年20.7兆円、前々年19.3兆円、前年比9.91%増)に拡大しています。また、2022年の日本国内のBtoB-EC市場は、420.2兆円(前年372.7兆円、前々年334.9兆円、前年比12.8%増)に増加しました。
引用元:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「電子商取引に関する市場調査 結果」より
20兆円が、どれぐらいのか市場規模が想像されずらい方も少なくないかと思いますので、参考までに近しい業界の市場規模を以下にまとめます。
- 2022年のホームセンター業界の市場規模は、前年比1.4%減の3兆3,420億円です。
- 2022年の百貨店業界の年間売上高は、前年比12.3%増の5兆5,070億円です。
- 2022年のコンビニエンスストアの販売額は、前年比3.7%増の12兆1,996億です。
- 2022年のスーパーマーケット業界の市場規模は18.5兆円です。
以上のことから、2022年のBtoC-EC市場22.7兆円が、いかに大きい市場規模に拡大されているか、イメージがついた方も多いのではないでしょうか。
以下は、ECの分野別の数字まとめとなります。
日本のEC市場 ー BtoC分野別
BtoC-EC市場は大きく分けて「物販系分野」「サービス系分野」「デジタル系分野」の3分野に分けられます。
2021年 | 2022年 | 増減率 | |
物販系分野 | 13兆2,865億円 | 13兆9,997億円 | 5.37% |
サービス系分野 | 4兆6,424億円 | 6兆1,477億円 | 32.43% |
デジタル系分野 | 2兆7,661億円 | 2兆5,974億円 | ▲6.10% |
日本のEC市場 ー BtoC物販系分野
物販系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「食品、飲料、酒類」(2兆7,505億円)、「生活家電・AV機器・PC・周辺機器等」(2兆5,528億円)、「衣類・服装雑貨等」(2兆5,499億円)、「生活雑貨、家具、インテリア」(2兆3,541億円)の割合が大きく、これらの上位4カテゴリーが2兆円を超過するとともに、物販系分野の73%を占めています。
EC化率については、「書籍、映像・音楽ソフト」(52.16%)、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」(42.01%)、「生活雑貨、家具、インテリア」(29.59%)において高い値となっています。
日本のEC市場 ー BtoCサービス系分野
サービス系分野のBtoC-EC市場の内訳をみると、「旅行サービス」(2兆3,518億円)が大きな割合を占めています。2022年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に落ち込んでいた旅行サービス、飲食サービス、チケット販売が外出需要の増加と共に大きく回復しました。
日本のEC市場 ー BtoCデジタル系分野
デジタル系分野のBtoC-EC市場規模の内訳をみると、「オンラインゲーム」(1兆3,097億円)が大きな割合を占めていますが、市場規模は前年比マイナス18.79%と減少しています。
日本のEC市場 ー CtoC
ECチャネルの一つとして個人間EC(CtoC-EC)の需要が急速に拡大していることを踏まえ、2016年から、CtoC-EC市場規模推計を実施しています。2022年のCtoC-ECの市場規模は2兆3,630億円(前年比6.8%増)と推計されました。
2021年 | 2022年 | 伸び率 | |
CtoC-EC | 2兆2,121億円 | 2兆3,630億円 | 6.8% |
日本のEC市場 ー DtoC
D2Cの市場規模は2025年に3兆円に達すると予測されています。
日本・米国・中国の越境EC市場比較
一方、海外を代表とするEC市場ですが、2022年において、日本・米国・中国の3か国間における越境ECの市場が、いずれの国の間でも増加しました。中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は2兆2,569億円(前年比5.6%増)、米国事業者からの越境EC購入額は2兆7,499億円(前年比6.7%増)であり、昨年に引き続き増加しています。
国別 | 越境EC購入額 | 伸び率 |
日本 | 3,954億円 | 6.1% |
米国 | 2兆2,111億円 | 8.3% |
中国 | 5兆68億円 | 6.2% |
こうして見ると、日本のEC市場と海外のEC市場や伸び率では大きな差が生じている事が確認できますね。
EC市場拡大の要因
ここまでで、日本も海外もEC市場が拡大している事が確認できたかと思います。それではなぜ、ここまでEC市場は拡大できたのか、その要因として、以下の5つがあげます。
デバイスの多様化
インターネットの普及により、今ではパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からも、ECサイトにアクセスできるようになりました。これにより、時間や場所を問わず、ECサイトでお買い物ができるようになりました。
システムの向上
スマートフォンのカメラ性能の向上や、動画による商品紹介など、商品情報をより分かりやすく紹介できるようになりました。それにより、購買が高まったことがあげられます。
インフラ整備
最短で、購入した当日に届くスピード配送や、外出などで商品を受け取れない時に便利な置き配など、配送サービスの充実化により、ECサイトでお買い物がしやすくなりました。
決済種類の充実化
キャッシュレス決済の普及をはじめ、今では銀行振込やクレジットカード決済に限らず、電子マネーなどの非接触型決済を利用する方が増えてきました。また、電子マネーの各企業が、大規模なキャンペーンを実施することにより、消費者はお得に、ECサイトでお買い物をできりようになりました。
おうち需要
コロナの影響で感染拡大を防ぐために、外出を控える人が増え、自宅でECのお買い物をする機会が増えました。また、ネットスーパーの普及や健康管理をはじめ、おうちでの生活を充実させるために、ECサイトでお買い物をする機会が急激に増えました。
これらの要因により、EC市場は今でも急速に成長しています。利便性の向上やシステムの進化に伴い、今後もEC市場はどんどん拡大していくと予想されております。
まとめ
BtoB、BtoC、CtoC、DtoCの違いから、日本のEC市場、海外のEC市場について解説してきました。マーケティングを行う上で、ECの市場規模や今後も予想されるEC市場を把握しておくことは、とても重要になります。これからECサイトで商品・サービスの展開を検討されている方々の参考になれたら幸いです。